今年のState of the Map 2016で発表された講演の中で、私たちはRailways at OpenStreetMapというものに対して関心を持ちました。(動画)今回はこの講演の内容を簡潔にまとめて紹介したいと思います。
概要
この講演は題名の通り鉄道とOpenStreetMapの関係についてがテーマとなっていて、主にマッピングに関して使用している手段などが紹介されていました。
行っていること
鉄道に関するマッピングを行っていて、鉄道といっても線路に限定せず、駅や信号機などの関連設備のマッピングも、OpenStreetMapのタグを利用して1つ1つ細かく行っているようです。既に廃線となった路線、計画中の路線などにもそれぞれタグが存在し個別に対応しているようです。
実際のマッピングに使われている方法としては
1. 徒歩や自転車で沿線を歩いていき手作業によるマッピング
2. 電車に乗りながらGPS端末を用いてログを取りそのデータによるマッピング
などがあるようです。
現状
現時点では約8万個ほどの信号や約4万個ほどのマイル標がマッピングされているそうです。この数が大きいのか小さいのかはよくわかりませんが、1つ1つ手作業で登録していることを考えるととても膨大な量なのではないかと思います。
現状の課題
鉄道路線の信号機にはスピードに関係するものや閉塞に関係するものなど様々な種類のものがあり、さらにその上設備の細かい仕様は国などによって違うため、種類や国ごとにタグの設定などを行う必要があるようで、そのことが複雑さを生んでいるようです。
また、このプロジェクトはドイツ人の方が中心となって進めているとのことで、現時点で登録されている信号機の半分以上がドイツのものとなっているらしく、ドイツ以外の国での作業が中々進んでいないというのも課題の1つのようです。
今後の課題
タグの複雑さに関しては地域や種類に対応した細かいタグを1つ1つ作っていて、現時点で29個の信号機に関するタグがあり、細かい仕様の違いにもしっかり対応しているそうです。対応する国が増えたらこの数は更に増えるのかもしれません。
ドイツとそれ以外の国の格差問題に関しては、他の国のデータを増やすためにはその国の現地の人が参加しなければならないため、ドイツ人がプロジェクトの主体である以上、なかなかすぐには解決する問題ではないのかもしれません。 私個人としては鉄道王国とも呼ばれる日本でこのプロジェクトが進むことを期待したいと思います。